


オリエント貿易株式会社は、商品先物取引、商品ファンド販売などを行う金融企業だ。設立は昭和34年(1959)年。業界では老舗に属する。取引料は104億6,000万円(2006年3月期)で、同業種の中では常にトップ5に名を連ねる大手である。
同社では対面営業のほか、ネット取引事業本部を設置し、インターネットを介した会員募集、取引に力を入れている。営業職のうちネット取引事業本部に属するのはおよそ1割。だが、売上高は会社全体のおよそ60%に達している。
もともと商品先物取引とインターネットの親和性、早くから言われていた。相場が天候やニュース報道に敏感に反応するだけに、いち早く取引を行えることは利益の確保につながりやすい。
だが「業界全体にいえることですが、堅い体制を持っているため『契約は、お客様とひざを突き合わせて取ってくるのが常識』という意識が強く、オンライントレードシステムの導入が遅れたり、また、規制や取引ルールがオンライントレードに沿っていない状態でした」(同社ネット取引事業本部 鹿谷直部長代理)
同社がインターネットサイトを立ち上げたのは1996年。当初は会社概要等を記した簡便な告知ページとしての機能しか有していなかった。それでも同業種の中では早かったほうだという。
「IT革命がさかんに叫ばれるなか、社内で同業他社に先んじてインターネットに踏み出そうという機運が盛り上がり、サイトを立ち上げました」(同事業本部 鹿谷直氏)
ところが、99年、そこにオンライン取引機能を加えたところ、思わぬ反響が現れた。
もともと同社の顧客は男性が90%以上、それも30~40代が中心だった。
「商品先物取引には『証拠金取引』など独自のルールがあります。それを理解いただけて、ある程度資金力のある方とお取引をさせていただくというのが、当社の基本姿勢でした。ところがネット取引にお申し込みされるお客様の中には、20代の方も多く、女性の方も珍しくありませんでした。こうした層にも市場があるんだということがわかり、新たな可能性を見つけることができました」(桑山氏)
折からの金融改革で、若い世代にも自分自身で資産運用をと考える人が増えてきている。また、対面だと営業コストも考えて、ある程度まとまった取引を目指す一方、ネットでは数万円単位の取引でも可能だ。
取引のハードルが下がったことで、幅広い世代に広がりつつあった個人投資家のニーズを、うまく捉えた格好だ。
「これはいける、と思いました。2002年グループ会社として『(株)外為どっとコム』を立ち上げて、為替や金融先物の取引をネットで行う事業を進めてきたのですが、これが設立以来、非常に好調となりました。商品先物でも同じことは可能だと考え、2004年頃からは、主戦力となるべく本腰を入れはじめました」(鹿谷氏)
そこで考えたのが、まず丁寧な情報提供だ。商品先物取引は、債券や投資信託など他の金融商品と比べると、高いリターンが望めるものの、リスクも高い。そのリスクを十分理解してもらうことも、サイトの機能として重要となる。対面でない分、より細かく説明する必要もありながら、文字情報として詳細情報を伝えることが可能であることは重要だ。会員登録の前に、本人確認の工程はもちろん、商品特性についての理解度チェックなどの工程を作るなどの工夫が求められた。
また、囲い込みを進めるために、取引ごとにポイントがたまり、季節の食材などの商品をプレゼントするなど、インセンティブを与える「ポイント制」も導入。こうして同社のサイトは小幅なバージョンアップを繰り返し、徐々に充実していった。
ネット取引事業本部ネットトレード部
鹿谷直部長代理(右)と、
ネットトレード部 プロモーション課
桑山智光課長
RTmetricsを導入したのは、2005年の6月。それまで解析ソフトは導入していなかった。初めての解析結果が出た時、ネット取引事業本部にはちょっとした衝撃が走った。サイトを訪れながら、講座開設の申し込み途中で離脱する顧客が思った以上に多かったのだ。
「自分たちが伝えたい事をあれもこれもと押し込みすぎていたのかもしれません。お客様によかれと思って機能と情報を次々と加えていったものの、初めてサイトを訪れたお客様にとっては、どこへいけばいいのか戸惑っている様子が解析結果には現われていました。私たちが本当にお勧めしたい商品にまでたどり着けず迷子となってしまうのでは、本末転倒です」(鹿谷氏)
2005年10月の同社サイトのログをRTmetricsで解析したデータを参照すると、同社のサイトを訪れて会員登録へ進みながら、途中で離脱していた顧客は88%も存在していた。煩雑なサイト構成が、知らず知らずのうちに多くのチャンスを失う結果となっていたのだ。
こうしたデータを踏まえて、2006年11月、同社のサイトは大幅なリニューアルを遂げた。最大のポイントは検索サイトからの動線。検索サイトから訪れたお客様は、まず収益力を持つメイン商品の「浪漫飛行」を前面に押し出したキャンペーンサイトへ誘導される。サイト全体の構成も極めてシンプルにまとめあげられ、目的の情報へ移動しやすくなった。
その結果、 11月期の新規口座開設数は、前月比の2倍と急上昇。2005年6月からの月平均口座開設数と比較すると実に4倍増という驚くべき成果だ。
「新サイトを作っているときから、感触はありました。なぜこういう風にいままで作っていなかったのだろうかと。Webで注文をいただくお客様にとっては、わかりやすさとスピードがなによりの利点となります。今後はこの部分の機能をさらに高めて、Web上のどこにいても、最小限の手間でお取引していただけるようなシステムを作っていきたいと考えています」(鹿谷氏)
「携帯電話からのアクセス解析ができるようになったことも大きな前進です。いつでも、どこにいても取引できるモバイルトレードの可能性には以前から注目していましたが、RTmetrics導入で携帯電話ユーザーあの行動を詳しく把握できるようになり、モバイルビジネスの重要性を改めて実感しました。現在、モバイル環境でのユーザビリティをさらに高めるべく準備を進めているところです」(桑山氏)
RTmetricsで可能になる端末を選ばないアクセス解析
