RTmetrics導入事例

株式会社 T-MEDIAホールディングス 様

サイト横断で指標を統一して
データドリブン型組織の礎を確立

導入前の課題

  • 高い運用コスト
  • タイムリーに情報を可視化出来なかった
  • サービス間でのデータ正確性が低かった

導入後の効果

  • 運用コストの削減
  • リアルタイムに情報を可視化
  • サイト横断共通のKPIが実現

T-MEDIAホールディングス(以下、T-MEDIA)はHD画質の新作ハリウッド映画や人気海外TVドラマが楽しめる「TSUTAYA TV」や、会員数および品揃えで国内最大級のネット宅配レンタル/動画配信サービスの「TSUTAYA DISCAS」など、お客様に喜ばれる品揃えと機能でネットエンタテインメントサービスを提供し、お客様のエンタテインメント生活がより豊かになれるサービスの充実を図っています。

T-MEDIAが運営する音楽、映画、ゲーム、本などエンターテインメント情報サイトTSUTAYA online(以下、TOL)のデータ解析は、当初自社開発でPV(Page View)・UU(ユニークユーザ)を中心に計測していました。店舗情報などの通常サイトであれば、それでもある程度必要な情報は取得できますが、自社のネット通販サービスTSUTAYA オンラインショッピング(以下、TOLショッピング)までの経路情報まで追っていく必要がありました。 同時に、今後さらにWebサービスを拡大していく方針もあり、サイトリニューアルを通じて外部(ASP)でのアクセス解析パッケージの導入を検討しました。 調査の結果、自社の大量なトラフィックに対応できるASPサービスはほぼ存在しませんでした。また、サイト制作が手動でのページ開発タイプであったため、Pageごとにタグを挿入するいわゆるWebビーコン方式だと、オペレーションミスによるタグの抜け漏れや運用管理の煩雑さという壁に突き当たりました。その中でめぐり合ったのが、ネットワーク機器からパケットをキャプチャする方式で、リアルタイムかつ大量処理に強みを持つRTmetricsでした。

導入によるITコスト削減・リアルタイム性の獲得

実際の導入前後で比較すると、翌日にやっと集計できていた数値がリアルタイムもしくは数時間のタイムラグで可視化できるようになりました。 運用面でも、集計対象の追加や除外条件、検索エンジン等の設定が開発ではなく設定レベルで行えるようになったため、コスト削減に大きく寄与しました。また、従来は全て社内リソースで開発を行っていたためコスト構造自体が不明瞭でしたが、パッケージ導入によって何にコストを要しているのかが明瞭になったのも1つの導入効果でした。 実は初回導入以降に一度、アクセス解析パッケージ見直しの機会があったのですが、やはり取得データの正確性と、不具合時のサポート対応という面でRTmetricsを継続する方針となりました。

データドリブン型組織に向けて

ビジネス視点での導入効果例を挙げると、「送客」に関する効果検証が挙げられます。 T-MEDIAが展開する多様なWebサービスはそれぞれ役割が異なります。例えばTOLショッピングは購買ですが、TOLはリアルな店舗への送客。グループ内他サービスへの送客の2つがCV(Conversion:目標)となります。導入前は、各サービスが別々のアクセス解析ツールを利用しており、取得するデータの意味合いが異なったため、比較するとどうしても正確性を欠いていました。それをRTmetricsで統一した指標を取得出来るようになり、ネットとリアルを横断した分析が実現出来ました。

今でこそ上記の考えはT-MEDIAのサービス企画チームの中で当たり前となっていますが、導入前はそのような仮説を提唱できても、裏づけとなる客観的な数字根拠が弱かったため、結局各事業担当者の思いが先行される傾向がありました。例えば、CTR(クリックスルー率)を重視する場合、どうしてもボタンを目立たせるなどクリエイティブ改修手法に目が向きがちでした。導入後は、「送客数」「送客した後のCV数」といった数字を基にしたルール付けをあらかじめ行い、たとえばCTRが伸びてもCVが伸びなければこれ以上誘導を行わない、という判断にも踏み切ることが出来るようになりました。

この話はどのような分析を行う上でも、非常に示唆に富むケースといえます。 ここでの成功要因の1つは、サービスを横串で見る部門の存在でした。どうしても各部門単位では部分最適となり、全体としての最適解に辿り付けないのが一般的です。例えば、送客側が重視するCTRとECが重視するCVがそれに当たりました。 その時に、部門横断でサービス全体の最適化を担う部門が、数字という客観的な武器を元に各部門との調整を図りながら合意形成を担うことが極めて重要でした。 但し、全体を担う部門も万能ではなく、問題点は感じています。それは森を見るがゆえに個々の木の病状、つまり現場感覚に若干弱くなってしまう傾向がありました。これについてはT-MEDIAのサービス企画チームでは、そのバランスを図りながら最適解を今でも追求しています。

反省点から学んだパッケージ導入時のポイント

ここまでは成功事例を中心に触れましたが、振り返ってみると反省すべき点もありました。 特に初期導入時に問題としてあがったのが、ツール導入前に実際の利用ユーザ層まで浸透出来ていなかったことでした。当時選定は上層部とIT部門が中心であったため、実際にツールを利用するユーザ層は、選定後にトレーニングの機会が少ないまま渡されてしまい、本来の機能をよく理解しないまま、使うのを諦めてしまうケースも見受けられました。

1例を挙げると、導入前からレポートは個人レベルで共有されていました。RTmetricsでは、組織内外でグループ共有する「ダッシュボード」機能が用意されており、導入時に運用設計していれば巧く個人から組織的な活用にレベルアップできたのですが、当時その機能を知らなかったためレポート運用はその前後で変わりませんでした。

振り返ると、検討時点から現場のユーザ層を巻き込んで、啓蒙方法・運用設計もセットで評価すべきでした。これはRTmetricsに限らず、高機能なツールであればあるほど陥りがちなケースで、今後検討を行う企業にとっては非常に貴重な事例かと思います。もう1つ同じような反省点として、そもそもツール以前に、数字を分析する能力も高める必要性があると考えており、今後は分析の人材についても強化する方針です。

今後のオムニチャネル時代に向けて

今までも店舗クーポン発行など施策としては先進的に取り組んできましたが、今後オムニチャネル化が進むにつれて、よりネットとお店の融合が進むと予測しています。 但し、店舗というリアルな場ではデータを捕捉するのは困難であるため、アプリケーションが重要な位置づけになると考えています。従って、Webとアプリケーション連携を通じてさらに分析を強化していくことを思い描いています。
常に革新的なサービスを提供し続けるT-MEDIAのサービス企画チーム、その背景には過去の成功・失敗体験で培った分析へのあくなき追求が原動力の1つかもしれません。
(取材は2014年3月28日に行われたものです)

株式会社 T-MEDIAホールディングス

  • URL

    https://www.ccc.co.jp/

  • 会社名

    株式会社T-MEDIAホールディングス(現:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)

  • 代表者

    代表取締役社長兼CEO 櫻井 徹

  • 本社

    東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー

  • 資本金

    1億円

  • 従業員数

    117名

事業内容

「TSUTAYA DISCAS」、「TSUTAYA TV」、「TSUTAYA オンラインショッピング」、「TSUTAYAミュージコ♪」をはじめとする各種インターネットエンタテインメントサービス事業の運営。 「TSUTAYA online」、「TSUTAYAアプリ」、「Tモール」、「Tの世界」等のネットメディア事業の運営。